ヒデヨのジョムティェンビーチ便り

バンコクの南東150km、パタヤの南5kmに位置するJomtien Beachでロングステイしています

香港の住宅事情の動画を観て、土地私有制度がない暮らしの大変さを認識しました

SNS上で興味深い動画を見かけました。
高騰を続ける香港の住宅事情についてのルポルタージュ動画です。

goo.gl


平均的な住宅の購入価格は、住宅事情が極めて厳しいと言われるニューヨーク市では年収の6倍なのに対し、香港では20倍に達する。
米国の一般的な駐車スペース1台分の面積より、香港の一人当たり住宅居住面積の方が小さい。
こうしたデータを用いて、香港の厳しい住宅事情が開設されています。

なぜ香港の不動産価格が長年暴騰を続けているかの理由について、仕組みとして土地の私有が認められていないからだというう説明が、目から鱗でした。

 


香港のすべての土地は、かつては英エリザベス女王、現在は香港政庁の持ちものである。

→不動産の購入とは、すべて50年の定期借地権に過ぎない。


→香港政庁には、黙っていても毎年莫大な土地貸出収入が入る。


→黙っていても莫大な収入が入るから、香港政庁 は頑張って山を削り、新たな宅地造成をする気が起きない。


→莫大な土地収入により、法人税と所得税を低く抑えることで、タックスヘイブンの金融都市として栄える。


→外部からの人口流入が続き、供給の増えない借地権がオークション化して、際限の無い高値の入札となってゆく。


→ 金融都市としての繁栄と引き換えに、庶民の住宅事情は絶望的なレベルに悪化していく。

 


世界で最も自由な競争社会を具現化している香港が、住居という暮らしの最も根源となる部分で、実は自由が皆無であり、その歪みに庶民が苦しんでいる構図なのですね。

 


英国領だった頃の香港に、一時期住んでいたことがあります。当時でもざっくり言って、東京に比べ会社員の給与水準は半分で、不動産価格は倍の印象でした。
限られた国土面積と険しい地形がその原因だと、その頃は思っていました。
香港の中でも、最も人口密度の高い団地の一つとして、かつて私の住んでいた建物が一瞬だけ、この動画内で映っていました。それで、ついこの動画を食い入るように観てしまいました。

 


考えてみたら、狭い狭いと言われる香港島でも、島を半周する路線バスに乗れば、島の大部分が森林であることがわかります。
険しい地形といっても、せいぜい標高500mかそこらです。現在の土木技術をもってすれば、全部削って海を埋め立てて平地にするのは、十分に可能でしょう。


そうは言っても、香港政庁と北京政府が、将来的に土地の私有を認めることは無いでしょう。
もし香港でのみ土地の私有認めたら、さらに輪をかけて中国大陸マネーが香港へ流入することになります。


この30年間で、中国大陸のあらゆる大都市には、香港のような超高層建築が林立するようになりました。
直木賞作家の故 邱永漢さんの言葉にあるように、"大陸の香港化"が進んだと言えるのでしょう。
中国大陸が香港と同様に、これからも一般市民に土地の私有を認めないのであれば、将来の中国大都市の住宅事情も、現在の香港と同様になるのかもしれません。政治の果たす役割は、本当に欲しいものがあります。

  

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