以前投稿したジョムティエンの音楽サロンBen;s Theatreへ久しぶりに行ってきました。
先週塚は、タイ交響楽団 TPO Thai Philharmonic Orchestraから,各楽器パートの首席クラスの演奏者5名が招かれた豪華版でした。題して The Salaya Quitet。 モーツァルトを中心に、技巧を凝らした2時間のプログラムでした。
出演者のバックグラウンドは、米・韓・泰・ラトビア・ポーランドと様々。普段はバンコク西部のマヒドン音楽大学で学生を指導する先生方でもあります。
通常は,出演者がせいぜい2名か3名、チケットは600バーツ(1800円)くらいなのですが、
今回は出演者5名でチケット950バーツのデラックス版でした。その代り、フリードリンクのワイン付き。私はグラスワインを3杯頂いてしまいました。(笑)
経費を除き、売り上げは全額が出演者へのギャラとなります。なので、出演者数が多い分、チケットがお高めなのは納得です。チケット代金を払うのは、引き換えに音楽を聞かせてもらう以上に、その技能・才能への敬意と寄付だと感じます。
席数40のこじんまりとした会場で、ここはAKB48ならぬ「アーティストに会いにいけるサロン」となります。ほんの数mの距離で迫力の生演奏が聴けるのは、贅沢なひと時です。
幕間の休憩時間は長めで、皆さんワイングラス片手に和やかに談笑しています。お客の9割は西洋人で、欧州のサロン文化の片鱗が、ここにはあります。
終演後、たまたまステージ近くにいた私は、突然出演者の一人からスマホを手渡されました。
「すみません、5人並んでいるところを撮ってもらえませんか?」
日本人男性というだけでカメラに詳しく撮るのが上手いと思われてしまうので、これはよくあるパターン。
撮った後、「最後の曲の超絶技巧には感動しました」などと言いつつ、しばし談笑できました。
出演者の方々も、終演直後に客から直接フィードバックを得られるのは,嬉しいようでした。
小規模サロンならではのコミュニケーションです。
主催者のベンは、この自前サロンの音楽会をすべて無償ボランティアで行っています。毎回、出演者やその所属団体との折衝は、簡単ではないようです。
例えて言えば、
音楽業界関係者でも富豪でもない、ただのクラシック好きの一般人が、伊東にある自宅にNHK交響楽団のトップクラスの団員数人に来てもらい、演奏してもらうようなものです。
ベンは母国オランダで以前、古い教会をサロンにするプロジェクトを手掛けたことがあまそうです。それに比べればこの自宅改装サロンは規模が小さくて、簡単なんだと笑っています。
サロンへ通じる道路は未舗装で、2WDの一般乗用車では進むのに躊躇するような酷いでこぼこ道です。そんなインフラさえ満足に整っていない環境下でも、ベンはサロンの運営を続けています。
人の価値は、お金だけで測れるものではないのだと、つくづく感じます。