LSO London Symphony Orchestraロンドン交響楽団のバンコク公演を鑑賞してきました。
日時: 2018年6月7日(木) 19:00 – 21:30
会場: Prince Mahidol Hall プリンスマヒドンホール マヒドン大学音楽カレッジ内
曲目: リストピアノコンチェルト2番 & ショスタコーヴィチ交響曲10番
指揮: ジャンドレア・ノセダ
ピアノ: イエフィム・ブロフマン
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これまで来タイした欧州の交響楽団では、最高峰になります。
プリンスマヒドンホールは、ドイツ人音響技師の手による卓越した音響効果で、タイはもちろん、東南アジアでもNo.1とされています。現在タイで考えられる、最高の楽団と最高の会場の組み合わせです。
会場チケントのお値段は、ワールドクラス。全2,000席のうち、最も高い席は2万バーツ(68,000円)。最も安い席でも、3,000バーツ(10,000円)します。タイの法定最低賃金での月給が7,500バーツであることを考えると、いかに高額か分かります。私は、最も安い3階席チケットを、早割30%オフの2,100バーツで入手しました。
ロビーは大勢の人だかり。ビジネスシーン以外で、男性のジャケット着用率がこんなに高いのは、初めて見ました。ドレスアップした女性の姿も多く、まさにバンコク社交界の皆さんが勢ぞろい、の趣でした。
マヒドン大学音楽カレッジ学長のDr.Sugreeは、赤の格子縞シャツに蝶ネクタイのめだついで立ちで、賓客を笑顔で迎え入れていました。
Dr.Sugreeの胸中は、いかばかりだったでしょう。
この素晴らしいホールができたのは、6年前。それまでは、キャンパス内には355席の小ホールしかありませんでした。地元タイ交響楽団がそこをホームとしていましたが、わずか355席であっても、すべて埋まるのは稀だったようです。
それが、今日は2千人収容の大ホールが満員となる盛況ぶりです。Dr.Sugreeが30年前に、何もなかった大学内の沼地に音楽カレッジを開設し、地道に種を撒き、育て、ようやくここまで来ました。これまでのご苦労が報われて、本当に良かったです。
5年前であれば、この種の舶来公演では、観客の過半数が在住欧米人だったかと思います。それが今日は、9割くらいは地元タイ人の観客でした。皆さん、マナー良く、心から演奏を楽しんでおらるのがか、感じられました。
3階の自分の席に着くと、やっぱりステージが遠いなぁ。オペラグラスを持ってくれば良かった(笑)。
しかも座席の前後感覚が、めっちゃ狭い。格安航空会社LCCのエコノミークラスみたい。私も、連れのオランダ人やチェコ人の友人も、膝が前の席の背もたれにぶつかっていました。
普段、地元タイ交響楽団の定期演奏を聴く際には、1階席真ん中か、せいぜい中2階席です。3階席の座席が狭いのは知らなくて、予想外でした(苦笑)。
まぁ今回は安い3階席ということで、実は演奏についての事前の期待は、それなりに、でした。しかし、いざ演奏が始まると、驚きの音響を全身で感じることになりました。物理的な距離は確かにステージから離れてはいるのですが、それが気にならないほどの素晴らしい音響でした。マイクとスピーカーで一部補助はされているようでしたが、とにかく素晴らしい。
ロンドン交響楽団の印象は、ずばり「シャープ」でした。
どのソロ演奏もも楽器パートも、キャラがくっきりと立っています。明瞭でシャープです。海岸で波が交じりあうように、各楽器の音が交わっていきます。交じり合っても、各楽器のシャープさは、そのまま。押しては返す波のように、各楽器が繰り返し交わり、時には激しくぶつかり、そして引いていき、ショスタコーヴィチの世界観を体現していました。
世界トップレベルは、次元が違う。
バンコクの地で、こうした体験にアクセス可能になったのは、本当に意義が大きいです。
米マスターカードの調査によると、2017年の外国人訪問者数の都市別ランキングでは、ロンドンを抑えてバンコクが世界一の座に就いています。国際性の面で、バンコクは世界の頂点に立っていると言えます。世界レベルのクラシック音楽が愉しめるようになり、芸術の多様性の面でも、バンコクが世界をリードするようになってくれたら最高です。
11月には、ベルリンフィルがプリンスマヒドンホールで初公演を予定しています。誰もが知る、クラシック音楽界の頂点に君臨する楽団です。これからも、この音楽ホールから、目が離せません。
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